ATPによる水質検査

飲料水および産業用水システムの微生物学的解析は、公衆衛生の保護とインフラの健全性維持において極めて重要です。迅速な水質検査手法は、問題が深刻化して高額な対処が必要になる前に異常を検出するのに役立ちます。水系における微生物レベルのモニタリングの重要性と、ATPアッセイがその手段としてどのように機能するかについてご紹介します。

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ATPアッセイとは?

ATPは、細菌などの微生物を含むすべての生きた細胞のエネルギー源です。

細胞が死滅すると、ATPは急速に分解されます。そのため、ATP濃度が高いことは、水中に生きた微生物が多く存在していることを示します。

ATPアッセイは、微生物汚染の傾向をモニタリングするためのツールとして活用できます。

ATP法は他の検出手法とどう違うのか?

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従属栄養細菌数 (HPC) は、生存している微生物を直接測定する方法ですが、結果が出るまでに数日を要し、生存菌のうち10%未満しか検出できません。

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フローサイトメトリーPCRは、結果の迅速化や精度向上には貢献しますが、いずれの方法も生きた細菌を直接測定することはできません。

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ATP検出は、あらゆる種類の微生物由来の生きた細胞を直接評価できる唯一の方法であり、サンプル中の微生物汚染を即座に示すことができます。

なぜ飲料水中の微生物汚染検出にATPを使うのか?

水質を管理するために

飲料水中の有害な細菌は、下痢、コレラ、腸チフスなどの病気を引き起こし、毎年何百万人もの命を奪っています。水処理プロセスの各段階で生きた微生物を定期的にモニタリングすることで、水質の維持が可能になります。ATPアッセイは低レベルの微生物汚染も検出可能で、微生物の拡散を未然に防ぐ早期警戒システムとして機能します。

水の供給インフラを保護するために

飲料水供給システム内での微生物増殖は、バイオフィルムの形成や、微生物誘発腐食(MIC)を引き起こし、配管や貯水タンクに甚大な損傷と修復コストをもたらします。生菌の迅速な検出により、増殖ホットスポットを特定することが可能となり、インフラの損傷を未然に防ぐことができます。ATPアッセイは数分で結果が得られるため、この目的に理想的です。

Promega scientist testing Water glo ATP Assay

なぜ海水淡水化における細菌モニタリングにATPを使うのか?

膜のバイオファウリング(生物汚染)を防ぐために

バイオファウリングは、海水中の細菌が逆浸透(RO)膜に付着し、バイオフィルムを形成することで水の流量が低下する現象です。このバイオフィルムの形成を最小限に抑える最も効果的な方法は前処理であり、RO膜に入る海水中のバイオマスや栄養素を減らすことが重要です。ATPアッセイを使えば、生海水の状態を継続的にモニタリングでき、前処理が有効に機能しているかどうかを評価し、必要なタイミングで対応を取ることができます。リアクティブ(事後対応)ではなく、プロアクティブ(予防的対応)な管理が可能になります。

淡水化コストを削減するために

海水淡水化には高いコストがかかりますが、その中でも最も費用がかさむのが、膜の洗浄や交換などのメンテナンスです。ATPアッセイによってバイオマスを継続的に監視することで、バイオフィルムの形成や膜の詰まりを防止できます。これにより、RO膜のろ過効率を最適に保ち、メンテナンスや交換にかかる時間とコストを削減することが可能です。

Monitoring biomass to prevent membrane fouling

なぜ冷却水中のバイオロード(微生物負荷)モニタリングにATPを使うのか?

バイオサイド(殺生物剤)の効果を評価するために

工業用水設備では、河川や湖などの表流水を冷却水として使用することが一般的であり、そこには多くの微生物が含まれています。冷却水中のバイオロードが多いと、バイオフィルムの成長や剥離による配管の閉塞、微生物誘発腐食(MIC)、熱交換効率の低下といったインフラ上のリスクが生じます。こうしたリスクを防ぐために、冷却水には通常バイオサイド処理が施されます。ATP測定は、バイオサイド処理がバイオロードをどの程度抑制しているかを簡単に評価できる手法です。

冷却塔におけるレジオネラ対策のために

レジオネラ属菌(Legionella)は表流水に一般的に存在し、重篤な肺炎「レジオネラ症」を引き起こすことで知られています。冷却塔や貯水タンクはレジオネラ症の集団感染源として最も多く報告されており、感染はレジオネラを含むミストを吸入することで発生します。ATPの測定により、冷却水中のバイオロードが許容範囲を超えていないかを迅速かつ容易に確認することができ、レジオネラの発生を効果的に予防することが可能です。

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