MSI ステータスの重要性

1993年から2017年までのがんに関連するMSI研究

History of msi cancer research 15461ma-w
MSI cancer research history 15462ma-wvs2

近年では免疫治療に対するがん応答に対するバイオマーカーとしても

機能的な MMR  (dMMR) タンパク質をうまく発現できないがんでは、体細胞変異が起きて "新規" あるいは”異物”としてタンパク質を産生することがあります。これらのタンパク質は免疫原性を有する可能性があるため、これらのがんは免疫反応を惹起し、免疫治療に対する感受性が高くなります。MSI はMMR欠損の最初の証拠になり得るため、 MSI-H ステータスは免疫チェックポイント遮断阻害剤などの免疫治療に対する肯定的な反応を予想することができます。

1993より 遺伝性のがんリスクに対するバイオマーカーとして

MSI スクリーニングは長い間 大腸がん あるいは 子宮内膜がんのがん患者の治療において重要であることが認識されており、現在では高頻度 MSI (MSI-H) はリンチ症候群に関連する特定の DNA ミスマッチ修復 (MMR) 遺伝子の生殖細胞変異に対する有望なマーカーとしても広く認められています。

Proficient MMR (pMMR) or Microsatellite Stable (MSS) Status

MMR status assessment is a critical component of care for patients with colorectal cancer (CRC) or endometrial cancer (EC). Proficient MMR (pMMR) or microsatellite stable (MSS), also called Not MSI-H tumors, are characterized by intact mismatch repair mechanisms, which influence their behavior, prognosis, and response to specific treatment strategies.

Advancing Treatment Options for MSS Tumors

In contrast to MSI-H/dMMR tumors, pMMR/MSS/Not MSI-H tumors maintain functional mismatch repair mechanisms and typically have fewer mutations, resulting in limited immunogenicity and reduced responsiveness to immune checkpoint inhibitors as standalone treatments. However, innovative combination therapies that pair these inhibitors with other agents, such as targeted or anti-angiogenic therapies, have emerged as effective options. These new combination therapies have shown the potential to improve survival and delay disease progression in advanced cancers, emphasizing the importance of determining MMR status to guide treatment decisions and optimize outcomes for patients with pMMR/MSS/Not MSI-H tumors.

MSI-H Status Can Indicate an Increased Hereditary Risk for Certain Cancers

DNAミスマッチ修復欠損  (dMMR) は遺伝性の生殖細胞変異や過剰メチル化によるエピジェネティックなサイレンシングが原因となりえます。dMMRの原因となる遺伝性変異に関連するリンチ症候群は遺伝子性大腸がんの多くに見られます。大腸がんだけでなくリンチ症候群では生涯にわたりその他の特定のがんを発症するリスクも高まります (1)。

NCCN® ガイドラインでは、15種のがんで PCR による MSI検査または IHC による MMR検査が推奨されています。

Common Lynch Syndrome cancers 15463ma-w2

MSIおよびリンチ症候群の研究に関する講演(Heather Hampel, MS, LGC)

全てのがんでマイクロサテライト不安定性スクリーニングを行う価値について

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遺伝子カウンセラー Heather Hampel はユニバーサルながんスクリーニングの支持者です。全てのがんおよびリンチ症候群関連がんのスクリーニングにより 大腸がんおよびその他のがんのリスクが増加している方を特定できる可能性があります。しかも、免疫治療に対する反応についてもを予想できます。

免疫治療の反応予測における MSI-H の役割

がん治療のパラダイムシフトが起こる中、マイクロサテライト不安定性のステータスは、腫瘍の形態に関わらない(癌腫横断的)治療法決定に利用されている初めてのがん分子指標です。

mismatch repair deficient cancers 15465ma-w

Le et al. (3) の2015年の論文では、大腸がんおよびそれ以外の臓器由来がんの両方で進行性ミスマッチ修復欠損がん患者での PD-1 遮断の有効性に関する広範な解析結果が報告されました。41名の患者を追跡した結果、ミスマッチ修復欠損がん患者で客観的奏効率(ORR)40%、無増悪生存率(PFSR)78% が示されました。それとは対照的に、ミスマッチ修復正常の客観的奏効率は 0% 、無増悪生存率 11%が示されました (3)。

免疫治療の応答性評価のための研究用マーカーとしての MSI. 2017年 分子病理学会年次大会での James R. Eshleman 博士 のご講演

ガイドライン

PCR による MSI は IHC テストと段階的あるいは同時に実施可能

Molecular Biomarkers for the Evaluation of Colorectal Cancer 2017

米国臨床病理学会議、米国病理医協会、分子病理学会、米国臨床腫瘍学会は2017年に大腸がん組織の分子バイオマーカーテストについてのガイドラインを公表しました (4)。

このガイドラインでは、MMR タンパク質の免疫組織化学的検出法が大腸がんパラフィン切片を用いたMMRタンパク質の発現不全を同定する信頼性の高い方法であることを 認証しています。同時に  dMMR 大腸がんではMMRタンパク質の免疫反応の喪失が一般的に検出されるが、正常な免疫反応が dMMRの最大 10%のケースで見られることも認めています。その結果として、ガイドラインは段階的または同時に行う MSI DNA テストの価値についても認識しています。

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PCR による MSIまたは IHCによる dMMR のスクリーニグは、ユニバーサルながんスクリーニングあるいは治療法決定のガイドのために推奨されています

National Comprehensive Cancer Network (NCCN)  Guidelines

28の主要ながんセンターの委員会は、ユニバーサルスクリーニングおよび治療決定のガイドのための 最初のアプローチとしてPCRを用いたMSIおよび(または)IHC によるがんテストを推奨しています。また、大腸がんに加えて14の癌種についても MSI スクリーニング を推奨しています。

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転移性大腸がんにおける同時テストの推奨

European Society for Medical Oncology (ESMO) recommendations

転移性大腸がんの免疫治療に関する近年の報告では、許容できない割合の患者(約10%)が免疫治療トラアルに参加し、dMMRまたはMSI-PCR の擬陽性により失敗しました。そのため、委員会では転移性大腸がんおよびその他リンチ症候群関連がんの免疫チェックポイント阻害剤での治療妥当性評価に PCRによるMSIおよび IHCによるMMRの両方の使用を推奨しています (5)。

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References

  1. Latham, A. et al. (2018) Microsatellite Instability Is Associated With the Presence of Lynch Syndrome Pan-Cancer. J. Clin. Oncol. 36, 1–9.
  2. Win, A.K. et al. (2016) Prevalence and Penetrance of Major Genes and Polygenes for Colorectal Cancer. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 26(3), 404–412.
  3. Cancer.gov. Cancer MoonshotSM Blue Ribbon Panel. Accessed March 16, 2022.
  4. Le, D.T. et al. (2015) PD-1 Blockade in Tumors with Mismatch-Repair Deficiency. New Engl. J. Med. 372, 2509–20.
  5. Luchini, C. et al. (2019) ESMO recommendations on microsatellite instability testing for immunotherapy in cancer, and its relationship with PD-1/PD-L1 expression and tumour mutational burden: a systematic review-based approach. Annals of Oncol. 30, 1232–1243.
  6. Bartley, A.N. et al. (2022) Mismatch Repair and Microsatellite Instability Testing for Immune Checkpoint Inhibitor Therapy. Arch. Pathol. Lab. Med. doi: 10.5858/arpa.2021-0632-CP
  7. Vikas, P. et al. (2023) Mismatch Repair and Microsatellite Instability Testing for Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: ASCO Endorsement of College of American Pathologists Guideline. J. Clin. Oncol. JCO2202462. doi:10.1200/jco.22.02462