生細胞イメージング
生細胞イメージングの技術、メリット、アプリケーションについて学びましょう。
生細胞イメージングとは?
生細胞イメージングは、ライフサイエンス研究において、生きた細胞をリアルタイムで一定期間にわたって観察するために用いられる技術です。これにより、細胞分裂、遊走、分化といった動的な細胞プロセスを観察することができます。一方、従来の固定細胞イメージングでは、特定の時点のスナップショットしか捉えることができません。生細胞イメージングは、がん組織など、経時的に変化する組織の進行状況を調べる際に特に有用です。
生細胞イメージングのメリット
- リアルタイム観察:「スナップショット」を撮影することなく、細胞内で起こる現象を経時的にリアルタイムで観察できます。
- 非侵襲的モニタリング:一般的な生細胞イメージングでは、細胞にほとんどダメージを与えることなく観察が可能です。
- マルチプレックスの容易さ:異なる蛍光マーカーや生物発光マーカーを使用することで、同一サンプル内の複数のターゲットを同時に観察できます。
生細胞イメージングのデメリット
- 光退色・光毒性のリスク:長時間の露光により、シグナルに変化が生じる場合があります。
- マーカーによる正常な細胞機能への干渉:異物分子や大型タグの存在により、長期間にわたって細胞プロセスが変化する可能性があります。
- 深部への到達限界:蛍光顕微鏡では、組織の深部で生じたシグナルを識別することが難しい場合があります。
蛍光レポーターと生物発光レポーターによる生細胞イメージング
蛍光レポーターと生物発光レポーターは、生細胞イメージングに欠かせないツールです。リアルタイムイメージングを可能にする光シグナルを生成します。蛍光タンパク質や蛍光色素などの蛍光レポーターは、細胞内の特定分子の局在を精密に特定し、モニタリングすることができます。細胞内の酵素反応によって光を生成する生物発光レポーターは、光毒性やバックグラウンドノイズを最小限に抑えながら、長期間にわたるイメージングに特に有用です。それぞれのメリットとデメリットについては以下をご覧ください。
- シグナル強度が高く、高感度な検出が可能。
- 蛍光タンパク質・蛍光色素のラインナップが豊富。
- マルチプレックスに対応。
- 外部光源が必要なため、光退色・光毒性が生じる場合がある。
- 細胞由来の自家蛍光がバックグラウンドノイズの原因となる。
- 光退色によりシグナルが経時的に低下し、長期イメージングに支障をきたす場合がある。
- 光散乱により、組織深部で発生したシグナルの識別が困難な場合がある。
- 外部光源が不要なため、バックグラウンドノイズを低減。
- 光毒性が低く、長期イメージングに適している。
- 光散乱が少なく、深部組織イメージングにも対応可能。
- 一般的に蛍光と比較してシグナル強度が低い。
- 蛍光と比較してカラーバリエーションが限られている。
- 開発・最適化が複雑でコストがかかる。
生細胞イメージングシステムとは?
生細胞イメージングシステムは、顕微鏡、環境制御機構、画像取得ソフトウェアを組み合わせた専用装置です。この組み合わせにより、細胞の生存率を維持しながら長期間にわたってイメージングを行うことができます。
GloMax® Galaxy 細胞発光イメージャーは、生物発光レポーターと蛍光レポーターの強みをライブイメージング機能と組み合わせた装置です。NanoLuc® ルシフェラーゼテクノロジー( NanoBRET®, NanoBiT®、HiBiT、Lumit™など)によるイメージングに対応しており、さまざまな細胞プロセスを可視化することができます。
- タンパク質間相互作用
- タンパク質の局在と移行
- タンパク質の分解と安定性
- リガンド:タンパク質相互作用(ターゲットエンゲージメント)
- ターゲットセルキリング
NanoBRET® NanoGlo® Detection Systemsによるタンパク質:低分子化合物相互作用の検出 NanoBRET®テクノロジーは、生物発光ドナーと蛍光アクセプターを利用して、ターゲットエンゲージメントなどの複雑なタンパク質間相互作用を可視化する。PRMT5–NanoLuc® 融合タンパク質を発現するHCT116細胞に、蛍光低分子トレーサーを添加した。トレーサー添加前は、ドナータンパク質上にエネルギーが存在することを発光シグナルが示している(左;3分間露光×15分間)。蛍光トレーサーの結合によりエネルギー転移が生じ、蛍光シグナルが検出される(右;3分間露光×60分間)。動画は GloMax® Galaxy 細胞発光イメージャーで撮影した。
機能生物学を光で解き明かす
ウェビナー:GloMax® Galaxy 細胞発光イメージャーによるNanoLuc®ルシフェラーゼテクノロジーのイメージング
発光アッセイとGloMax® Galaxy 細胞発光イメージャーが、ターゲットエンゲージメント、受容体インターナリゼーション、局在、タンパク質分解の研究をどのように補完するかをご覧ください。
生物発光生細胞イメージングとは?
生細胞における生物発光イメージングは、生物内で自然触媒反応によって生成される発光を利用して、細胞内タンパク質の局在などの細胞プロセスをリアルタイムで可視化する技術です。生物発光生細胞イメージングでは、繰り返しのサンプル励起を必要とせず、生細胞内のタンパク質ダイナミクスを直接可視化することができます。 How does bioluminescence work?
生物発光イメージングのメリットとアプリケーションについて詳しくは、生物発光イメージングページをご覧ください。
NanoLuc®ルシフェラーゼレポーターは、生物発光イメージング研究に最適です。その極めて高い輝度により、他の発光レポータータンパク質では数分を要する露光時間を、わずか数秒に短縮することができます。また、サイズが小さいため、融合パートナーの正常な生物学的機能を損なう可能性が低くなっています。Nano-Glo® Extended Live Cell Substratesはシグナルの安定性が向上しており、数時間から数日にわたる長期的なキネティクス解析が可能です。
経時的な標的タンパク質分解 内在性HiBiTタグ付きGSPT1を発現し、LgBiTを安定発現するHEK293細胞に、CC-885分解誘導剤またはDMSOコントロール処理を施した。Nano-Glo® Vivazine™ Live Cell Substrateを用いてアッセイを行い、GloMax® Galaxy 細胞発光イメージャーにて5時間にわたりイメージングした。
Li-Fang Chu 博士の研究室は、生物発光生細胞イメージングを用いて、初期ヒト発生における遺伝子発振のタイミングを初めて正確に観測しました。ブログで詳しく読む
注目のLab Manager誌記事:生物発光イメージングシステムで細胞の謎を解き明かす
本記事では、生物発光イメージングシステムが実験から得られる知見をどのように深めるかを解説するとともに、研究に最適なプラットフォームを選ぶ際に評価すべき重要な特長を紹介しています。
蛍光生細胞イメージングとは?
蛍光生細胞イメージングは、蛍光タンパク質や蛍光色素を使用して、細胞構造や細胞プロセスをリアルタイムで可視化する技術です。これらの蛍光物質は特定の波長で励起されると光を放出し、タンパク質の局在、オルガネラのダイナミクス、細胞内シグナル伝達などの現象をモニタリングすることができます。 蛍光顕微鏡のアプリケーションについて詳しく見る
生細胞イメージング用蛍光リガンド
生細胞イメージングに対応した豊富な種類の蛍光HaloTag® リガンドをご用意しています。蛍光リガンドの全ラインナップをご覧ください。
蛍光生細胞イメージングプロトコル
蛍光生細胞イメージングに興味はあるけれど、どこから始めればよいかわからない方へ。蛍光HaloTag® リガンドを使用した迅速イメージングおよびノーウォッシュ生細胞イメージングの両方に対応した包括的なプロトコルをご用意しています。プロトコルを参照して、ロバストかつ特異的なシグナルを最適化する方法をご確認ください。
スフェロイドおよびオルガノイドの生細胞イメージングとは?
スフェロイドとオルガノイドは、従来の2D培養よりも組織の構造と機能をより忠実に再現した、高度な3D細胞モデルです。これらのモデルは、疾患メカニズム、薬物応答、複雑な細胞間相互作用の研究に広く活用されています。
一方、その構造ゆえにイメージングには難しさも伴います。生細胞イメージングは、モデルにダメージを与えることなく生物学的プロセスを経時的に観察できる、強力かつ非侵襲的な手法であり、3Dシステムにおける長期研究に最適です。
3D培養技術について詳しく知りたい方は、3D細胞培養ガイドをご覧ください。
HaloTag® テクノロジーによる大脳オルガノイドのモニタリング
HaloTag® とJanelia Fluor® 色素を使用して、生きた大脳オルガノイド内の神経ネットワークを可視化する研究をご紹介します。このホワイトペーパーでは、パルスチェイスイメージング、オルガノイド間コミュニケーション、低バックグラウンドでの長期蛍光標識について取り上げており、3D培養システムにおける詳細な空間解析を可能にします。
オルガノイドをリアルタイムで可視化する
ウェビナー:NanoLuc®-HaloTag®レポーターシステムによるヒト大脳オルガノイドのリアルタイム非破壊モニタリング
NanoLuc®-HaloTag® システムを用いたリアルタイム生物発光・蛍光イメージングにより、神経分化および大脳オルガノイドの発生を継続的かつ非破壊的に追跡する方法をご紹介します。
生細胞イメージングの研究アプリケーションへの活用
がん研究
生細胞イメージングにより、腫瘍細胞の増殖、浸潤、治療への応答など、腫瘍細胞の挙動を追跡することができます。がん特異的なマーカーや経路を、生細胞を用いてリアルタイムでモニタリングすることが可能です。
発生生物学
細胞増殖、複製、組織形成などの発生プロセスは、生細胞イメージングによる研究に適しています。これらのプロセスを理解するためには、遺伝子発現とタンパク質局在の時空間的パターンを可視化することが必要です。
免疫学
生細胞イメージングにより、免疫細胞の相互作用、シグナル伝達経路、病原体に対する免疫応答など、免疫プロセスを可視化することができます。感染に応答した遺伝子活性化などの炎症反応や、貪食などのプロセスを詳細にモニタリングすることが可能です。
神経科学
生細胞イメージングにより、生きたニューロンおよびより大きな神経ネットワーク内において、シナプス機能やカルシウムシグナリングなどのニューロン活動を観察することができます。この技術により、神経変性疾患に関与するニューロン特異的な遺伝子や経路を長期にわたって研究することが可能です。
微生物学
微生物細胞に蛍光マーカーや生物発光マーカーを標識することで、宿主と病原体の相互作用、バイオフィルム形成、微生物の挙動を研究することができます。この手法は、細菌・ウイルス感染の観察に特に有用であり、効果的な抗菌治療の開発に貢献します。
生物発光イメージングのアプリケーションを探る
GloMax® Galaxy 細胞発光イメージャーを使って研究者たちがどのようにNanoLuc® ルシフェラーゼ実験をより充実させているかをご覧ください。実績のあるイメージングアプリケーションを探索し、次の発見へのインスピレーションを見つけましょう。