神経科学研究向けソリューション

神経科学の分野では、数十億ものニューロンがどのように相互接続され、記憶や行動、さらには人間の健康に影響を与えているのかを解明することを目指しています。

私たちは、発光および蛍光法のアッセイ、遺伝子レポーター、そして効率的なワークフローを含む包括的なツール群を通じて、皆さまの研究を力強く支援します。これらのツールは、細胞内で起こっていることをリアルタイムで可視化しながら、研究のスピードを損なうことなくご活用いただけるよう設計されています。

私たちとともに、脳という複雑なシステムの謎を解き明かし、定量的なデータから真の科学的進展へとつなげていきましょう。

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神経オルガノイド研究のためのツール

オルガノイドは、生理学的に関連性の高い三次元モデルとして、ヒト脳の研究に広く用いられています。これらのモデルは、神経発達疾患や神経変性疾患の解析だけでなく、薬剤応答の評価においても、制御された中で複雑な細胞環境を再現できる強力なプラットフォームです。

 

当社では、オルガノイドを用いた神経科学研究に対応したアッセイ技術を提供しています。以下のようなニーズに最適化された製品群をご用意しています:

  • 発光法による生存性・細胞毒性アッセイを用いた、リアルタイムかつ非侵襲的な健康状態のモニタリング
  • 主要なシグナル伝達イベントや神経活動を測定するライブセルバイオセンサーによる機能解析
  • 微量かつ複雑なサンプルにおけるバイオマーカー探索や薬剤スクリーニングに対応する高感度検出プラットフォーム

高感度かつスケーラブルなアッセイによる神経毒性の評価

特に、神経オルガノイドや幹細胞由来ニューロンといった複雑または高感受性なモデルを使用する場合、細胞の生存性と細胞傷害性を評価することは、神経細胞の健康状態を判断するために不可欠です。

発光アッセイで可能な測定項目:

  • 薬剤の効果および潜在的な神経毒性
  • 代謝活性の変化(例:ATP量)
  • 細胞膜の損傷指標(例:LDH放出)
  • 長期培養におけるパフォーマンスおよび安定性

発光アッセイの特長:

  • サンプルの状態を保持できる非破壊フォーマット
  • 低密度培養条件でも高感度かつ高再現性
  • ハイスループット解析や経時的評価ワークフローへの高い適合性
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注目の文献

LDH-Glo Cytotoxicity Assayが、オルガノイドのサイズや細胞密度に関係なく、脳オルガノイドにおける生存性および細胞傷害性を高い信頼性で評価できることをご紹介する論文です: Development and optimization of a lactate dehydrogenase assay adapted to 3D cell cultures.

ライブニューロン内でのタンパク質挙動のトラッキング

神経科学研究においては、シナプス可塑性、タンパク質凝集、神経分化などの複雑なプロセスを理解するために、生細胞内でのタンパク質挙動を追跡するための、精密かつ低侵襲なツールが不可欠です。

プロメガのHiBiTおよびHaloTag技術は、ニューロンおよび神経オルガノイドにおける内在性タンパク質のタグ付けと解析に適した、補完的なアプローチを提供します。以下の表では、両技術の特長と適用例を比較しており、実験目的に応じたツールの選定にご活用いただけます。

HiBiTとは

HaloTagとは

タグ HiBiT HaloTag
検出方法

発光(励起光不要)

蛍光(外部からの励起光が必要)
主なアプリケーション
  • 内在性タンパク質の発現、局在、分解のモニタリング
  • タンパク質の凝集または発現に影響を与える化合物のスクリーニング
  • ニューロンの分化または成熟のトラッキング
  • 神経受容体の細胞内移行および細胞内輸送の追跡
  • ライブニューロンにおけるタンパク質間相互作用のモニタリング
  • タンパク質の局在および細胞内輸送の可視化
  • 神経伝達物質の活性モニタリング
  • シナプス可塑性およびシグナル伝達タンパク質の解析
  • タンパク質の精製
標識メカニズム LgBiTフラグメントとの補完に基づくルシフェラーゼ再構成 合成リガンド(例:蛍光色素、バイオセンサー)への共有結合
タグのサイズ 11アミノ酸 297アミノ酸
ライブセル対応 対応:ライブニューロンおよびオルガノイドにおけるリアルタイム・非侵襲的な測定 対応:ライブセルおよびオルガノイドにおける高解像度イメージングが可能
光毒性 低:励起光不要 励起光照射により光毒性の可能性あり
CRISPRへの適合性 優:最小限のタグサイズで内在性タンパク質へのタグ付けに最適 優:イオンチャネルおよびシグナル伝達タンパク質の精密な標的化
一分子イメージング 不向き 適合:超解像イメージングおよび単一分子イメージングに適している

神経細胞のイメージング解析

イメージングは神経科学において基盤となる技術であり、細胞内シグナル伝達から複雑な神経回路の解析まで、幅広い研究を可能にします。なかでも、高解像度のライブセルイメージングは、シナプス活動の可視化、神経シグナルの追跡、疾患メカニズムのリアルタイム解析といった用途において非常に有用です。一方で、従来のイメージング手法には以下のような制限も伴います:

  • 観察中に感受性の高い細胞にダメージを与える可能性のある光毒性
  • 微量シグナルの検出を制限する感度の低さ
  • 再現性やスケーラビリティを妨げる煩雑なワークフロー

こうした課題を克服するために、プロメガでは新しい蛍光リガンドと発光イメージングツールをご提供しています。これらのツールは、より明瞭に、より高精度に、そしてより自信を持って脳の複雑な構造と機能を探索することを可能にします。

バックグラウンドノイズを低減し、安定性を高めた高解像度イメージング

Janelia Fluor® HaloTag® Ligandsは、ライブセル、固定サンプル、生理的発現環境におけるHaloTag® 融合タンパク質の高度なイメージングのために設計されています。そのため、神経科学研究に理想的なツールとして活用いただけます。 

可視光領域全体をカバーするこれらの色素はフルオロジェニック性を備えており、高輝度かつ低バックグラウンドでの観察を可能にします。これにより、神経構造や神経活動の高解像度イメージングを実現します。 

神経科学ワークフローにおける主な利点:

  • 超解像、共焦点、in vivo、ライブセルイメージングへの対応
  • 高い光安定性による退色の最小化 —神経変性やシナプス可塑性などの長時間観察に最適
  • パルスチェイス標識による、タンパク質動態(輸送・分解を含む)のリアルタイム追跡
すべてのリガンドを見る
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Janelia Fluor® HaloTag® Ligandsで標識した大脳スフェロイドを45日目に撮像した。 詳細はこちら

ライブセルにおける微量タンパク質動態の可視化

タンパク質の局在、シグナル伝達、細胞間のばらつきといった細胞内の動的プロセスは、脳の発達、機能、疾患の理解において極めて重要な役割を果たしています。プロメガのリアルタイムイメージングツールは、ルシフェラーゼレポーターや発光イメージングシステムを含み、神経系におけるこれらの複雑なメカニズムの解明を支援します。

ルシフェラーゼレポーター

NanoLuc®ルシフェラーゼは、小型で高輝度かつ非常に安定した発光酵素であり、ライブセルにおける複雑かつ動的な生物学的プロセスの解析に最適です。

神経科学研究における NanoLuc®の主な利点:

  • 微量の神経シグナルやタンパク質を高感度に検出可能
  • 励起光を必要としないため、光毒性のリスクがなく、感受性の高いニューロンや長時間アッセイに最適
  • シグナル伝達、遺伝子発現、タンパク質間相互作用のリアルタイムかつ動態的な解析
  • NanoBiT® や HiBiT® などのモジュール式システムとの互換性により、タンパク質動態の多面的な解析が可能
  • 低バックグラウンドかつスケーラブルなフォーマットにより、再現性の高いハイスループット神経科学ワークフローを実現
NanoLucルシフェラーゼとは

生物発光イメージングシステム

GloMax® Galaxy 細胞発光イメージャーシステム は、NanoLuc® ルシフェラーゼシグナルのリアルタイムイメージングを可能にし、タンパク質動態や細胞の生理機能をモニタリングすることができます。本システムは NanoLuc® を用いたワークフローに完全対応しており、神経細胞集団内の細胞間のばらつきを可視化したり、細胞内の動的変化を追跡したりする用途に適しています。

GloMax Galaxyを見る

データで見る:GPCRターゲットエンゲージメントの可視化

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NanoBRETを用いたHTR2C受容体のGPCRターゲットエンゲージメントの解析 左図: GloMax® Discoverマイクロプレートリーダーを用いて、HiBiT-5-HR2C に結合したトレーサーの置換をクロザピンまたはセロトニンで測定した結果を示す。右図: GloMax® Galaxy細胞発光イメージャーにより取得されたドナーおよびアクセプターの画像。 ドナーチャンネルは60秒、アクセプターチャンネルは120秒露光した。レシオメトリックイメージは、Tracer EC70 単独またはクロザピンとの併用による BRET 比の変化を示している。

生体動物における脳のイメージング

NanoLuc® は、高輝度かつ低バックグラウンドであることから、全身レベルの非侵襲イメージングに最適であり、脳内での測定にも有用です。

Nano-Glo® Cephalofurimazine (CFz9) In Vivo Substrateは、血液脳関門(BBB)を通過するよう設計されており、生体動物の脳内での NanoLuc® ルシフェラーゼ活性の検出を可能にします。この基質は、以下のようなアプリケーションに対応しています:

  • 特定の脳領域における遺伝子発現またはプロモーター活性の in vivo モニタリング
  • 神経変性疾患の進行を対象とした長期縦断的な解析
  • 脳への治療薬分布に関する研究
  • 動物モデルを用いた神経回路の長期にわたるモニタリング
CFz9 In Vivo Substrateに関するお問合せ
CFz9基質を用いた in vivo 発光イメージングについて、詳細は本ウェビナーでご紹介します。