RNAを標的とする研究
RNAやRNA修飾タンパク質を標的とする低分子化合物やオリゴヌクレオチドは、有望な治療アプローチとして注目されています。これらの分子は、発現レベルの調節、エクソンスキッピングの促進、エピトランスクリプトームの制御など、さまざまな方法でRNAの機能を調節することができます。
多様なRNAや、それらが相互作用するタンパク質の機能を解明することは容易ではありません。また、低分子やオリゴの特異性や選択性を評価するには、高感度なアッセイが必要です。プロメガでは、RNA研究を支援し、これらの重要な問いに答えるための多彩なテクノロジーをご用意しています。
RNA生物学の分野での研究目標をぜひ私たちにお聞かせください。プロメガのチームが、最適なカスタムソリューションをご提案します。
リスジプラムの構造モデル
リスジプラムは、RNAを標的とする初の低分子医薬品として、米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。この薬剤は脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療に使用されています。出典:Sheridan, C. (2021) Nature Biotechnol. 393–12. DOI: 10.1038/s41587-020-00788-1.
かつてRNAは受動的なメッセンジャーと考えられていましたが、現在ではその複雑さが認識され、疾患との関連も明らかになりつつあります。細胞内には多様な種類のRNAが存在し、その構造や機能を含め、まだ解明されていないことが多く残されています。RNAと結合するタンパク質は1,500種類以上存在するとされますが、それらがどのように働くのかについても、理解はまだ十分ではありません。従来、RNAを標的とする手法としては、siRNA(低分子干渉RNA)、アンチセンスオリゴ、アプタマーなどのオリゴヌクレオチドが用いられてきました。近年では、これらに加え、低分子化合物がRNAの三次元構造(3D構造)を直接標的とする手法も登場しています。RNAの結合や機能阻害に関しては大きな進展が見られる一方で、特異性や細胞透過性といった課題に対する研究も引き続き進められています。
発現レベルの解析
CRISPR-HiBiT ノックイン細胞を使用することで、内因性タンパク質の発現をシンプルかつハイスループットなワークフローで解析できます。CRISPR/Cas9 遺伝子編集技術を用いて、発光タグ HiBiT を目的の内因性遺伝子座に挿入します。CRISPRノックインタグ付加技術の詳細、利用可能なCRISPR細胞株についても是非ご覧ください。
CRISPR-HiBiT 細胞株を用いた発現変化の用量依存性および時間依存性のモニタリング
siRNAの特異性およびランク付け評価の例 内因性 cMyc のカイネティクスモニタリングを cMyc-HiBiT ノックイン HEK293(LgBiT 発現安定株)細胞で実施した。これによりリアルタイムでの解析が可能となる。細胞には、cMyc または GAPDH に対する siRNA を処理し、トランスフェクション時にNano-Glo® Endurazine™ Live Cell Substrateを添加した。発光はGloMax® Discover Microplate Readerを用いて10分ごとに測定した。
発現解析に細胞生存性マルチアッセイをあわせ、細胞への影響を評価
発現解析と同じウェル内で細胞生存性マルチアッセイを実施することで、処理による細胞毒性の有無を確認 cMyc-HiBiT ノックイン HEK293(LgBiT 発現安定株)細胞に、cMyc に対する siRNA または ノンターゲティング siRNA(Dharmacon) を48時間処理した。 まずCellTiter-Fluor™ Cell Viability Assay により、未処理細胞を基準に細胞生存率を測定した。次にNano-Glo® HiBiT Lytic Detection Systemを用いて cMyc:HiBiT 融合タンパク質の発現を測定した。棒グラフはネガティブコントロールsiRNAに対するcMyc:HiBiTの相対発現率(%)を、点は未トランスフェクトコントロールに対する細胞生存率を示す。
デュアルレポーターシステムによる発現解析のモニタリング
プロメガは生物発光レポーター技術の世界的リーダーとして、1つのサンプルで2つのレポーター遺伝子の発光シグナルを迅速かつ簡便に定量できる、デュアルルシフェラーゼアッセイのラインアップを提供しています。主要レポーターの活性は特定の刺激の影響を反映し、コトランスフェクションされたコントロールレポーターの活性は、結果を正規化するための内部コントロールとして機能します。
古典的なホタルルシフェラーゼとRenillaルシフェラーゼの組み合わせには、Dual-Glo® Luciferase Assay Systemをご利用いただけます。さらに高感度が必要な場合(例:細胞数が少ない、取り扱いが難しい細胞株など)には、NanoLuc® ルシフェラーゼによる高輝度なシグナルを活用したり、最新技術を搭載したNano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay Systemをご検討ください。
ルシフェラーゼ活性の正規化によるHeLa細胞における内因性マイクロRNA(miR-21)の解析
内因性miRNAの解析 21塩基対のmiR-21ターゲット配列と完全に一致する配列、またはミスマッチのあるターゲット配列を構築した。これらのpmirGLO Vectorコンストラクトをトランスフェクションしてから24時間後に、Dual-Glo® Luciferase Assay Systemを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。各コンストラクトの正規化されたホタルルシフェラーゼ活性(ホタルルシフェラーゼ活性/Renillaルシフェラーゼ活性)を、インサートを含まない pmirGLOベクター(ネガティブコントロール)と比較した。
手作業から自動化・ハイスループットまで、核酸レベルでの発現解析に対応
Maxwell® RSCテクノロジーは、最大16または48検体を同時処理できる2種類の小型自動核酸抽出装置を提供しています。これらの磁性粒子ベースの核酸抽出装置は、あらかじめ充填されたカートリッジとプログラム済みの抽出プロトコルを使用し、DNAまたはRNAを幅広いサンプルから25〜60分で抽出します。Maxwell® instrumentsでハンズオン時間を削減しながら高品質な核酸を効率的に抽出する方法をご紹介します。
より大規模な抽出が必要であれば、Maxwell® 試薬をカートリッジから取り出し、各種ハイスループットリキッドハンドリングシステムと組み合わせて使用することも可能です。さらに、当社にはリキッドハンドリング装置の経験豊富な専門チームが在籍しており、お客様の装置に合わせたプロトコルの立ち上げをサポートいたします。 ハイスループットでの核酸抽出用試薬はこちら、エキスパートチームのサポートについてはこちらをご覧ください。
小規模スケールで自動化までは不要な方へには、手作業によるRNAまたはDNAの抽出ソリューションもご用意しています。
さまざまなサンプルからの手動および自動抽出プロトコルについては、アプリケーションノートをご覧ください。
Maxwell® テクノロジーによる自動核酸抽出とRT-qPCRによる遺伝子発現解析
RT-qPCRによる遺伝子発現解析 cMyc:HiBiT HEK293(LgBiT 発現安定株)細胞を、cMycに対するsiRNAまたはノンターゲティングsiRNAで24時間処理した。 RNAはMaxwell® RSC miRNA Tissue Kitを使用して抽出し、GoTaq® RT-qPCR Systemにより cMyc の発現量を測定した。発現量は安定な2種類のリファレンス遺伝子の幾何平均で正規化した。
細胞生存率アッセイと核酸抽出を組み合わせて、同じウェルからより多くのデータを取得しませんか?リアルタイムで細胞生存率を測定した後、siRNAによる遺伝子サイレンシングにおいて、同じウェルから遺伝子発現も解析した方法をご紹介します。詳細はアプリケーションノートをご覧ください。
RNAとタンパク質の相互作用
RNAとRNA結合タンパク質(RBP)との相互作用は非常に複雑で、RNAはしばしばRBPと結合し、修飾されます。RBPは1,500種類以上存在し、その機能や結合特異性については、まだ多くが解明されていません。これらの相互作用の破綻は、神経変性疾患、心血管疾患、がんなど、さまざまな疾患に関与していることが知られています。
標識ヌクレオチドをエネルギー移動アクセプターとして使用するアプリケーションについての契約条件につきましては、こちらまでお問い合わせください。
NanoBRET® テクノロジーを用いた、オリゴヌクレオチドと標的タンパク質との結合親和性測定
NanoBRET® 結合親和性アッセイの概略図 目的の標的タンパク質に NanoLuc® ルシフェラーゼを融合し、細胞内で発現させる。RNAトレーサーオリゴには蛍光色素を標識し、融合タンパク質と結合させる。その後、細胞をジギトニンで溶解し、非標識のRNAオリゴによる競合置換により、異なるオリゴの結合親和性を測定する。
タンパク質と核酸の相互作用を研究するために開発された NanoBRET® TE アッセイに関する詳細なデータは、Plos One掲載の論文をご覧ください。また、SRSF2がm5C 修飾RNAに結合する様子を解析した事例はMolecular Cell掲載の論文で紹介されています。
NanoBiT® および HaloTag® テクノロジーを用いた RNA-タンパク質相互作用の解析
生細胞におけるRNA-RNA結合タンパク質(RBP)相互作用の検出 Garner教授の研究室では、RBP-LgBiT プラスミドと、クロロアルカンで標識されたpre-miRNAプローブを、SmBiT-HaloTag(HT)を安定発現する細胞にトランスフェクションしている。HTはRNAプローブと共有結合し、RNAとRBPが相互作用すると、BiT同士が結合して機能的なルシフェラーゼ酵素を形成し、発光を生じる。
RiPCA法の詳細については、Garner教授へのブログインタビューをご覧いただくか、RSC Chemical Biologyに掲載された論文をご参照ください。
エピトランスクリプトミクス
エピトランスクリプトミクス(RNA修飾)は、スプライシング、核外輸送、局在化、安定性、分解、翻訳など、RNA生物学における重要な過程を制御しています。エピトランスクリプトームに関与するRNA修飾には、N1-メチルアデノシン(m1A)、シュードウリジン(Ψ)、5-メチルシチジン(m5C)、N6-メチルアデノシン(m6A) など、さまざまな種類があります。
Succinate-Glo™ Assayを用いた RNA 脱メチル化の検出
高感度な生物発光アッセイによるRNA脱メチル化酵素活性の測定
脱メチル化酵素活性の評価 RNA脱メチル化酵素FTOの活性はSuccinate-Glo™ Assayを用いて検出した。FTOは6mA修飾RNA(10µM)あり/なしの条件で段階的に添加した。
siRNAおよびmiRNA
siRNAやmiRNAを使ってRNAを制御していますか?プロメガでは、それらの活性をデュアルルシフェラーゼ技術でモニタリングできるベクターをご用意しています。
- pmirGLO Dual-Luciferase Vectorを用いれば、ホタルルシフェラーゼ遺伝子の3'側にmiRNAのターゲット配列を挿入することで、miRNA活性の評価が可能です。また、Renillaルシフェラーゼを内部コントロールとして搭載しており、正規化が容易です。
- psiCHECK™ Vectorであれば、Renillaルシフェラーゼ遺伝子の下流に目的配列をクローニングすることで、siRNA活性をモニタリングできます。RNAiが開始されると、融合mRNAが切断・分解され、Renilla活性が低下します。こちらもホタルルシフェラーゼによる内部コントロールで正規化可能です。
siRNAやmiRNAを真核細胞に導入したい場合には、FuGENE® SI Transfection Reagentをご利用ください。小分子RNAの導入に特化しており、細胞への負担を最小限に抑えたトランスフェクションが可能です。
二本鎖RNAをご自身で合成したい方には、T7 RiboMAX™ Express RNAi Systemをご提供しています。哺乳類向けのsiRNA二本鎖RNAや、非哺乳類向けの長鎖dsRNAを、ミリグラム単位で合成できます。
bcr/abl に対する RNAi のための shRNA 最適化
ヒト慢性骨髄性白血病(CML)細胞株 K562(フィラデルフィア染色体転座陽性、GenBank® accession# M30829)から、bcr 遺伝子と abl 遺伝子の融合部位を含む 200bp の bcr/abl mRNA 領域を RT-PCR により増幅し、psiCHECK™-2 ベクターにクローニングした。
bcr/abl mRNA を標的とする 7種類の shRNA は、T7 RiboMAX™ Express RNAi Systemを使用して合成した。CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞に psiCHECK™-2-bcr/abl プラスミドと各shRNAをトランスフェクションし、Dual-Glo™ Luciferase Assay System によって Renilla ルシフェラーゼとホタルルシフェラーゼの活性を測定した。
詳細は研究論文をご覧ください。
RNA解析
プロメガは、RNA生物学を支援するゲノミクスツールの長い実績を持ち、世界中で最も信頼されているリボヌクレアーゼ阻害剤、RNasin® Ribonuclease Inhibitorを提供しています。RNasin® 阻害剤には、ネイティブ型と組換え型の両方をご用意しており、さらにRNasin® Plus という強化版もラインアップ。RNasin® Plus は、酸化耐性が向上し、最大70℃までの安定性を備えた高性能な試薬です。
インキュベーション後のRNAの完全性をゲル解析で評価 各反応液5µlを、ホルムアルデヒドサンプルバッファー (Lonza Cat.# 50571)4µlおよびエチジウムブロマイド(0.1mg/ml)2µlと混合した。混合液を65℃で5分間インキュベートし、その後、各サンプル6µlを1%アガロースゲル(1X TBEバッファー)で、100Vで約25分間電気泳動した。
詳細は技術記事をご覧ください。
詳細はRNA解析ラインアップをご覧ください。以下の製品群も含まれています:
- RNA定量用蛍光色素
- in vitro 転写試薬 (例:ラージスケールRNA合成用システム(RiboMAX)、RNAプローブ作製用システム(Riboprobe))
- RT-PCR用酵素およびキット
-スタンドアロンの逆転写酵素(AMV, M-MLV and GoScriptなど)
-RT-PCRに必要な酵素、バッファー、試薬がすべて揃った総合キットもご用意しています。
プロファイリングサービス
プロメガのカスタムアッセイサービスは、創薬および開発ワークフローの加速を支援します。高感度・ハイスループットかつ生物学的に関連性の高い結果をもたらす、当社独自のテクノロジーを基盤とした包括的なサービスをご提供します。詳細は Tailored R&D Solutionsチームまでお問い合わせください。
提供サービス例:
- CRISPR-HiBiT細胞株によるスクリーニング
- 生細胞内でのターゲットエンゲージメント解析
- RNA-タンパク質相互作用の評価
- レポーター遺伝子アッセイ
- そのほか多数のサービスに対応可能