3D 培養細胞を用いたバイオロジーモニタリングのためのアッセイおよびツール
細胞生物学を研究する上でより生体に近いモデルシステムを作成するために、3D培養法が注目を集めています。3D細胞培養は、マトリックスとのより自然な相互作用を促進し、細胞が独自のマトリックスを分泌できるようにすることで、2D環境よりも組織または腫瘍環境をより忠実に模倣します。また、3D細胞培養では、より自然な細胞間接触が再現されるため、O2と栄養素へのアクセスに対する勾配も生じます。
3D細胞培養では、単層培養と比較してしばしば細胞応答に関する劇的な違いが明らかになります。3D培養での細胞の生物学のモニタリングは、細胞の健康、代謝、発現の変化を調べることでアプローチすることができます。これらの表現型の変化は、細胞の遺伝子型または疾患状態に関与する遺伝子型の変化に関係しています。プロメガでは細胞の健康や代謝の変化から遺伝子の発現や分析まで、ワークフローの各ステップに対応するアッセイとツールを提供しています。
3D 細胞培養とは?なぜ使用されるのか?各種 3D モデルで使用できるアッセイの選び方は?
3D培養で生物学をモニターするには?
3D培養モデルを扱う場合、適切なアッセイシステムを選択することが重要です。3D培養の生物学的性質をモニターするツールについて学びましょう。
細胞健全性の変化
ほとんどのセルヘルスアッセイは、単層で培養された細胞をモニタリングするために設計されています。3D培養細胞でこれらのアッセイを使用すると、それがスフェロイド培養であろうとハイドロゲルマトリックスであろうと困難がともないます。細胞質からタンパク質または代謝産物を分離する必要がある場合、標準プロトコルでは3D培養細胞には適応できない可能性があります。そのため、プロトコルと試薬は3D培養用に最適化する必要があります。CellTiter-Glo® 3D Assayは、より多くの界面活性剤を使用し、専用のプロトコルとして最適化されています。私たちは、通常単層培養用のいくつかのアッセイのために、3D培養での使用に最適化されたプロトコルを開発しています。
FEATURED PRODUCT
CellTiter-Glo® 3D Cell Viability Assay
細胞溶解アッセイ
3D 培養用に特別にデザインされた試薬を使用してATPを測定し、細胞生存率をモニタリングします。従来のCellTiter-Glo®アッセイと同じATP測定用のルシフェラーゼ反応を利用しながら、溶解力を向上させることで試薬がより細胞内深くに浸透し、測定に必要なATPの放出を促進させます。CellTox™ Green Cytotoxicity Assayを使用した同一ウェルでのマルチプレックスアッセイあるいは分取した培地とLDH-Glo™Cytotoxicity Assayを使用して死細胞を同時に測定することもできます。
CellTiter-Glo® 3D Cと ATPlite 1Step Reagent の溶解力の比較
FEATURED APPLICATION
Drug Screening Using Single Organoids
3D 培養用に特別にデザインされた試薬を使用してATPを測定し、細胞生存率をモニタリングします。従来のCellTiter-Glo®アッセイと同じATP測定用のルシフェラーゼ反応を利用しながら、溶解力を向上させることで試薬がより細胞内深くに浸透し、測定に必要なATPの放出を促進させます。CellTox™ Green Cytotoxicity Assayを使用した同一ウェルでのマルチプレックスアッセイあるいは分取した培地とLDH-Glo™Cytotoxicity Assayを使用して死細胞を同時に測定することもできます。
Viability of unsorted compared to sorted organoids.
細胞生存性
RealTime-Glo™ MT Cell Viability Assay
非細胞溶解アッセイ
本製品は生物発光を利用した高感度なアッセイで、細胞還元当量をもとに最長72時間連続して細胞生存率をモニタリングすることができます。同じウェルから核酸を単離して遺伝子発現またはゲノム分析することもできます。また、CellTox™ Greenとのマルチプレックスで死細胞も測定することもできます。
HCT116 スフェロイドの直径に対する RealTime-Glo™ MT Cell Viability Assay の反応
Details in Application Note (link below).
細胞毒性
LDH-Glo™ Cytotoxicity Assay
非細胞溶解アッセイ
この高感度生物発光アッセイは乳酸デヒドロゲナーゼの放出を指標として細胞毒性を測定します。このアッセイでは、タイムポイントあたり 2〜5μl の培養液しか必要としないため、同じウェルから複数回のサンプリングが可能です。同一ウェルで本アッセイを実施した後に CellTiter-Glo® 3D または Caspase-Glo®3/7 アッセイなどの細胞を溶解する他の細胞アッセイを実施することもできます。
LDH-Glo™ Assay と CellTiter-Glo® Assay のマルチプレックス
Human liver microtissue spheroids were treated with aflatoxin B1 for 48 hours. Media samples were collected and assayed with the LDH-Glo™ Assay. The remaining cells were assayed for viability with the CellTiter-Glo® 3D Assay. Details available in Technical Manual TM548.
細胞毒性
CellTox™ Green Cytotoxicity Assay
非細胞溶解アッセイ
蛍光アッセイにより細胞毒性を72時間継続的にモニタリングすることができます。細胞非透過性のDNA結合色素は、膜を損傷した細胞に入り、細胞内のDNAを染色します。生細胞と死細胞の経時的なモニタリングを行える RealTime-Glo™MTとのマルチプレックス、またはCellTiter-Glo® 3D エンドポイント分析を行う前の毒性試験が行えます。
生細胞および死細胞を同一ウェルでマルチプレックスモニタリング
Details in Scientific Poster (link below).
アポトーシス
Caspase-Glo® 3/7 3D Assay
細胞溶解アッセイ
DEVDase 活性をモニタリングする生物発光アッセイによりアポトーシスを測定します。プロトコルは、単層培養用あるいは3D培養用に最適化されたプロトコール付き製品を提供しています。Caspase-Glo® 3/7 Assay で細胞を溶解する前にCellTox™ Green で細胞死をモニタリングすることもできます。さらに溶解後、CellTox™ Green蛍光を再度読み取り、正規化のためにウェルあたりの総細胞数を取得します。
CellTox™ Green Cytotoxicity Assay と Caspase-Glo® 3/7 Assay のマルチプレックスアッセイ
Same-well multiplexing on A549 spheroids after a 24-hour exposure to bortezomib. Fluorescence and luminescence were measured using the GloMax® Discover Instrument.
アポトーシス
RealTime-Glo™ Annexin V Apoptosis and Necrosis Assay
非細胞溶解アッセイ
発光アネキシンVアッセイと蛍光ネクローシスアッセイのマルチアッセイにより、最長48時間連続してアポトーシスと二次ネクローシスをモニタリングすることができます。同じウェルから核酸を単離して遺伝子発現またはゲノム分析に用いることもできます。
HepG2 スフェロイドのアネキシン V および 2次ネクローシスの測定
Measurement of annexin V exposure and secondary necrosis of HepG2 spheroids to 48 hour exposure to paclitaxel using the RealTime-Glo™ Annexin V Apoptosis and Necrosis Assay. Luminescence and fluorescence measured with the GloMax® Discover Instrument.
ADME
P450‐Glo™ CYP3A4 Assay and Screening System
非細胞溶解アッセイオプション
生物発光アッセイを用いてチトクロームP450酵素 (CYP1A2, CYP2B6 and CYP2C9 も利用可能) の活性化をモニタリングします。非細胞溶解プロトコルオプションでは、単層培養と3D培養に同じプロトコルを使用します。前駆体基質が細胞内に拡散し、CYP活性によってルシフェリンに変換されます。ルシフェリンは細胞の外に拡散し、アッセイは培地を用いて実施されます。アッセイ後の細胞は、他の細胞ベースのアッセイや核酸抽出に使用できます。
ヒト肝臓微小組織における CYP3A4 活性および細胞生存性のモニタリング
Monitoring human liver microtissue Cytochrome P450 3A4 activity and viability in response to rifampicin. CYP3A4 activity was measured using non-lytic P450-Glo™ 3A4 Assay with Luciferin-IPA followed by same-well measurement of viability with the CellTiter- Glo® 3D Assay. Measured with a GloMax® Discover Instrument.
オートファジー
Autophagy LC3 HiBiT Reporter Assay System
非細胞溶解アッセイ
生物発光プレートベースのアッセイでオートファジーLC3-IIフラックスをモニタリングすることができます。LC3 HiBiT レポーターを細胞へ安定的にトランスフェクションし、3D培養で増殖させ、Lytic HiBiT detection Systemを使用してモニタリングします。本レポーターは蛍光顕微鏡によるLC3-IIタンパク質のモニタリングも可能にします。
オートファジー 刺激剤または阻害剤による LC3 HiBiT レポーターを発現 HEK293 スフェロイドの応答
Details in Scientific Poster (link below).
免疫原性細胞死
RealTime-Glo™ Extracellular ATP Assay
非細胞溶解アッセイ
オートファジー 刺激剤または阻害剤による LC3 HiBiT レポーターを発現 HEK293 スフェロイドの応答
ATP release was monitored with the RealTime-Glo™ Extracellular ATP Assay and measured every 10 minutes over a 24 hour period.
代謝変化
エネルギー代謝は細胞の健康と機能にとって重要であり、その代謝産物は細胞のエネルギー、細胞の構成材料の作成あるいはシグナル伝達経路と密接につながっています。乳酸、グルタミン、酸化ストレス、ジヌクレオチド検出アッセイなど、3D細胞培養アプリケーション用に最適化されたプロトコルで代謝活性を測定できる様々な測定試薬を提供しています。一般的なサンプル前処理により、同じサンプルからのGlucose-Glo™、Lactate-Glo™、Glutamate-Glo™およびGlutamine / Glutamate-Glo™ アッセイとの同時測定も可能です。
ヌクレオチド & 補因子の検出
NAD/NADH-Glo™ and NADP/ NADPH-Glo™ Assays
細胞溶解アッセイ
この細胞溶解をともなう生物発光アッセイにより NAD + / NADH または NADP / NADPH 比をモニタリングすることができます。ライセートを分割し、酸/塩基反応により、NAD +またはNADHの酸化型または還元型を測定します。3D培養細胞のアッセイでは標準の単層培養細胞用プロトコルをわずかに変更して使用します(詳細は下記のポスター参照)。
培養 HCT116 スフェロイド の NAD+ および NADH レベルの測定
For full details, see the technical article linked below.
代謝産物の検出
Lactate-Glo™ Assay
非細胞アッセイオプション
非細胞溶解性、高感度の生物発光アッセイオプションを使用して、3D培養における乳酸の変化をモニタリングします。アッセイには、タイムポイント あたり2〜5μlの培養液しか使用しないため、同じウェルから複数回サンプルを採取できます。残った細胞は、他の細胞ベースのアッセイまたは核酸単離に使用できます。
酸化ストレス
GSH/GSSG-Glo™ Assay
細胞溶解アッセイ
高感度生物発光アッセイでGSH / GSSG比の変化をモニタリングします。並列ウェルは、GSSGのみと GSH + GSSGの合計を測定するために設定され、その結果からGSH / GSSG 比が得られます。プロトコルは、単層培養(5分間振とう)から3D培養(30分間振とう)へとわずかに変えるだけです。同一ウェルで予め CellTox™ Greenを用いて細胞毒性をモニタリングすることもできます。
HCT 116 スフェロイドの並列ウェルにおける総グルタチオンおよび細胞生存性のモニタリング
Spheroids treated for 48 hours with buthionine sulfoximine prior to measurement of total glutathione with the GSH/GSSG-Glo™ Assay or CellTiter-Glo® 3D Assay. Details in Scientific Poster (link below).
代謝物の検出
Glutamate-Glo™ Assay
非細胞溶解アッセイオプション
非細胞溶解、高感度の生物発光アッセイオプションを使用して、3D培養細胞におけるグルタミン酸の変化をモニタリングします。アッセイには、タイムポイントごとに 2〜5μl の培地しか使用しないので、同じウェルから複数回サンプリングすることが可能です。残った細胞は、他の細胞ベースのアッセイまたは核酸単離に使用することができます。
代謝産物の検出
Glutamine/Glutamate-Glo™ Assay
非細胞溶解アッセイオプション
非細胞溶解性の高感度生物発光アッセイオプションを使用して、3D培養細胞におけるグルタミンとグルタミン酸の変化をモニタリングすることができます。グルタミンは、グルタミンをグルタミン酸へ変換することで測定します。アッセイには、タイムポイントごとに 2〜5μl の培養液しか必要としないため、同じウェルから複数回サンプリングすることができます。残った細胞は、他の細胞ベースのアッセイまたは核酸抽出に使用することができます。
酸化ストレス
ROS-Glo™ H2O2 Assay
非細胞溶解アッセイオプション
生物発光 H2O2アッセイにより活性酸素種をモニタリングすることができます。ルシフェリン前駆体基質は H2O2 と直接反応し、アッセイ成分は活性化された前駆体基質を生物発光検出用のルシフェリンに変換します。単層培養と3D培養で同じプロトコルを利用することができます。残った細胞は、他の細胞ベースのアッセイまたは核酸抽出に使用することができます。
ROS 誘導性のメナジオンに対する HepG2 スフェロイドの応答
Response of HepG2 spheroids of differing diameters to different levels of menadione. Cells incubated 4 days in ultra-low attachment plates (Corning). H2O2 levels measured with the ROS-Glo™ H2O2 assay and read on a GloMax® Discover Instrument. Details in Application Note (link below).
脂質代謝
Glycerol-Glo™ Assay
非細胞溶解アッセイオプション
脂質代謝
Triglyceride-Glo™ Assay
細胞溶解アッセイ
脂質代謝
Cholesterol/Cholesterol Ester-Glo™ Assay
細胞溶解アッセイ
Cholesterol/Cholesterol Ester-Glo™アッセイは、培養細胞溶解液や細胞培養培地などの他の生物学的サンプル中のコレステロールおよびコレステロールエステルを迅速かつ高感度に測定するための生物発光アッセイです。コレステロールは、ステロイド生成、胆汁酸合成、細胞シグナル伝達、膜構造の維持などに関与する重要な脂質です。
発現変化
3D 培養で成長した細胞は、単層培養細胞と比較すると、遺伝子発現に違いがある可能性があります。細胞間接触や細胞間マトリックスの接触変化は非常に異なり、培養中の酸素と栄養素の勾配も遺伝子発現に影響を及ぼします。遺伝子発現の違いを分析するには、RNAを単離して定量する必要があります。次に、特定の遺伝子をRT-qPCRで分析するか、RNA-seqなどの手法で細胞内での変化をモニタリングします。
FEATURED PRODUCT
ReliaPrep™ RNA Miniprep Systems
3D培養細胞より次の分析に使用できるトータルRNAまたはmiRNAを単離して、発現の変化をモニタリングします。ReliaPrep™ RNA Miniprep Systemsは、RealTime-Glo™MT Cell Viability Assayなどの非細胞溶解性細胞アッセイとともに相乗的に機能します。
HEK293 微小組織 スフェロイドからの RNA 単離
ゲノム解析
遺伝子型-表現型または表現型-遺伝子型の違いを理解することは、特に初代培養細胞または腫瘍を研究する場合に重要です。遺伝子型を分析してから3D細胞培養を使用して表現型を理解する場合や、表現型を研究してから遺伝子型を調べて、これらの変化が生じる理由を理解する場合があります。ゲノムDNA分析では、DNAを抽出して定量する必要があります。次に、qPCRを通じて特定の遺伝子を調べるか、NGSでゲノムを調べることを選択します。初代培養細胞を用いる場合は、どのサンプルがどのドナーからのものであるかを区別する必要があります。多くの場合、その目的にはSTRプロファイリングが選ばれています。STR プロファイリングは、操作している細胞が本当に目的の細胞であることを確認する上でも非常に重要です。
FEATURED PRODUCT
Maxwell® RSC Cultured Cells DNA Kit
Maxwell® RSC Instrument と簡単ですぐに使える自動化プロトコルを使用して、ゲノム解析のために3D培養細胞から次のアプリケーションに使用可能なゲノムDNAを単離することができます。分析に使用できる精製 DNAを約45分で調製することができます。単離されたgDNAは、遺伝子コピー数とバイオマーカーのqPCRベース分析、サンプルの追跡または検証のためのSTRベースの分析、あるいはシーケンスベースの分析に使用することができます